弁護士コラム

第46回

『公務員のための休職代行』について

公開日:2024年11月25日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行をはじめて早いもので、数年が経ちました。その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第46回は『公務員のための休職代行についてコラムにします。

目次

1.休職代行について

休職代行という制度の認知度は、退職代行に比べてまだまだ低いです。退職代行業者が休職代行をしている現状があるものの果たしてどのように窓口をしているか疑問です。さらに言えば、退職代行業者が公務員の方の休職代行を受任することはできないはずですし、依頼は必ず弁護士にするべきです。そこで、現状、公務員の休職代行の情報がないため、今回コラムにしました。

弁護士法人川越みずほ法律会計の休職代行の流れは、以下の通りとなります。

まず、職場に病気休暇取得について、受任通知書をFAXやメールなどを使って送付します。なお、2で解説する通り公務員の場合には、休職の前に病気休暇を挟むことになります。弁護士の作成した受任通知書は、依頼者とは一切連絡してはならない旨の文面を入れることで、依頼者自身は職場との一切の連絡等は不要になります。また、状況に応じて診断書を出します。診断書を出す際には、私から法的なヒアリング及びアドバイスを行います。

2.病気休暇について

次に、公務員の方が休職するにあたっては、休職の前に病気休暇があります。国家公務員でも、地方公務員でも、病気休暇→休職の流れは同じになります。病気休暇は制度として90日間となり、病気休暇中は給料がほぽ100%支給されます。

したがって、公務員の場合には、いきなり休職ではなく、90日の病気休暇を挟むことなります。なお、毎年、公務員の方は6月と12月に賞与(ボーナス)が支給されますが、病気休暇取得中や休職手続中であっても、6月1日、12月1日に在職していたことになりますので、算定期間を満した場合には賞与(ボーナス)が支給されます。

3.休職について

病気休暇後、復職できる状態にない場合には休職手続きに入ります。休職期間は各職種によって異なるものの、3年間となります。休職期間の給与については、最初の1年間は80%となります。その1年間以降については、完全に傷病手当金の対象となります。また、最初の1年についても、その80%の給与を傷病手当金が上まる場合もあるため、休職期間については、傷病手当金も支給申請することもあります。

4.傷病手当金申請について

傷病手当金については、以下の通りとなります。

組合員(任意継続組合員を除きます。)が公務外の傷病で勤務ができなくなったときに支給されます。ただし、その期間に報酬の全部又は一部が支給された場合は、その支給を受けた報酬の額を控除した額が支給されます。

支給期間
勤務ができなくなった日以後3日を経過した日から1年6か月間(結核性疾病は3年間)を限度として支給されます。

支給額
1日につき下記の額の2/3に相当する額。

① 支給開始日の属する月以前に12ヵ月以上の組合員期間がある方
支給開始日の属する月以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬の月額を平均した額÷22

② 支給開始日の属する月以前に12ヵ月以上の組合員期間がない方
次のうち、いずれか低い額
1.支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬の月額を平均した額÷22
2.支給開始日の属する年度の前年度の9月30日における全組合員の標準報酬の月額を平均した額÷22
ただし、土曜日、日曜日については支給の対象とはなりません。

5.まとめ

公務員の方については、休職手続きの前に、病気休暇が入ります。給与支給率についても事前にご確認ください。公務員の方で、休職手続きにあたってお困りでしたら、私までご相談ください。力になります。

・関連ホームページ

弁護士の休職代行(弁護士の退職代行)

・関連コラム

第3回 退職代行時の傷病手当金請求

第4回 休職代行

第24回 弁護士による休職代行

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。