弁護士コラム

第113回

『警察官の退職代行がおすすめな理由』について

公開日:2025年5月2日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第113回は『警察官の退職代行がおすすめな理由』についてコラムにします。

目次

1.警察官が退職代行を利用するおすすめな理由について

警察官の退職代行の依頼は、相談としては数が多いですが、一定程度の依頼しか受けません。

その警察官の退職代行については、弁護士しか対応ができないため、依頼時には、必ず弁護士に相談、依頼をするようにしてください。今回は、私のコラムで、警察官の退職代行について解説します。

警察官は、国家公務員(警察庁勤務)または地方公務員(都道府県警察勤務)として、特別職に該当します。特別職とは、地方公務員法で定められた特定の職種のことで、特定の職務を行うために公務員とされる者などが含まれます。

警察官の退職代行の難易度については、私の感覚値で評価すると、自衛官の退職代行にもっとも近いと言えます。特徴が自衛官の担当者にソックリと言えます。

とにかく、代理人になった際には、毎日2回ぐらいは、私に電話をしてきますし、出るまで電話をしてきます。多い時は、5回から6回程度電話してくるので、相当しつこいと言っても過言ではありません。

ここまでで、なぜ、私が一定程度しか警察官の退職代行を受けない理由がわかると思います。警察官の方とは、刑事事件での絡みが多いですが、退職代行の際には、弁護士の退職代行を勘違いしている担当者が多くいます。

弁護士が代理人として、退職の意思を伝えているのに、『本人の意向が分からないので、本人と(退職について)話をさせて欲しい』と平気で言いますが、私の退職代行では、『一切、無視』をします。『退職代行なんだから依頼者本人と連絡を取らせるはずがないでしょう。』と私は思う訳です。

ここまでで、警察官の退職代行の第1の特徴をまとめますと、『担当者がやたら依頼者本人と(退職について)話しをしたがる』という点です。異常なほど、担当者がこだわります。

第1の特徴に対する対応として、依頼時に、依頼者に対して、担当者と直接話しをできるか否かについてヒアリングします。

依頼者が担当者との話しを希望しない場合には、代理人として、拒絶します。退職代行を弁護士に依頼している点で、直接のやりとりを希望しないのは明確なはずですが、依頼者の方には、確認の意味でお聞きします。

次に、第2の特徴としては、貸与品の返却についてです。

紛失防止などを理由に、しきりに本人の立ち合いを求めてきますが、第1の特徴で話をしたように、依頼者に意思を確認して、依頼者が希望しない場合には、私の方で拒否します。

貸与品については、退職代行後、署内の担当者の方で確認してもらえれば足りるはずですが、依頼者の方には、事前に貸与品の確認を最終出勤日までに終わらせてもらうこともあります。貸与品については、事前に私までご相談ください。アドバイスさせて頂きます。

第3の特徴として、『辞任願』は、所定の様式がないので、手書きで作成する必要がある点です。

『辞任願』の必要的な記載事項は、以下の通りとなります。

①辞任願は、万年筆、または、ボールペンを使用して全文を自筆し、署名押印すること。
②辞任願の日付けは、所属長に辞職願を提出する日を記載すること。
③辞職願の文中には、辞職を願い出た理由及び辞職を希望する日を記載すること。

辞職願(例文)

年 月 日

●●●●警察本部長

階級 氏名  殿   


所 属 名

階 級(職)

氏 名 印


私は、このたび、●●●●により、●年●月●日をもって辞職したいので、ご承認下さるようお願いいたします。

職員の辞任等手続についての通達を前提とすると、辞任願の提出は、所属長を通じて、原則として14日前に提出する必要があります。

公務員の退職願(辞職願)は、依頼者本人が作成する必要があるため、依頼時に合わせて、辞任願の作成をお願いしています。ぜひ、辞職願(例文)を参考にしてください。

・参考裁判例
辞職願及びその撤回は、身分の得喪に関わる公法上の意思表示であるため、自ら直接行うことを要し、使者を介することは許されるが、代理人による意思表示は許されないとされいます(昭和39年6月22日 奈良地裁)。

2.まとめ

警察官の退職代行の流れは、受任通知書の通知→辞任届の提出→貸与品の調整→辞令交付(郵送)となります。

依頼者は、職場との電話や面談の必要性はないのですが、第1の特徴で述べた通り依頼者に意思を確認を行います。最近では、警察官の服務事案で、懲戒処分待ちの状態で退職代行を受けるケースもあります。

さらに、警察官の方が官舎にお住まいのケースでは、立ち会いの調整をすることもあります。その他の依頼事項として、退職代行とセットで傷病手当金申請を受けるケースもあります。退職後に、引き続き傷病手当金を受給できるように代理で手配します。

退職については承認を貰っている場合で、年次休暇が残っているにもかかわらず、退職日までに年次休暇の申請について拒否されている場合に、代理で、年次休暇を取得する交渉のみの依頼を受けるケースがあります。

今回は、警察官の退職代行についてコラムで解説しましたが、退職全般(傷病手当金申請サポートを含む)に関してお困りでしたら、私まで遠慮なくご相談ください。力になります。

・参考コラム

第92回『公務員の懲戒待ちの退職代行』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。