弁護士コラム

第227回

『退職代行時の罰金請求(違約金請求)と労基法第16条違反』について

公開日:2026年2月10日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第227回は『退職代行時の罰金請求(違約金請求)と労基法第16条違反』について解説します。

目次

1.罰金制度(違約金制度)が定められるケース

退職代行時には、その日から出勤しないで退職することが一般的な流れです。その際、本人以外の代理人が連絡してきたこと自体をもって『当欠』に対して罰金請求(違約金請求)をしてくる会社があります。

罰金制度(違約金制度)を会社で定めること自体は、労働基準法第16条の賠償予定の禁止に反し無効となります。

例えば、当欠については、罰金1万円を給料から控除しますという会社があります。この当欠については罰金と言うこと自体が賠償予定の禁止に反します。

仮に、当欠については、違約金1万円を給料から控除しますという制度自体も労働基準法第16条の賠償予定の禁止に反し無効となります。

予め罰金制度自体を会社に定めること自体が労働基準法第16条の賠償予定の禁止に反します。

2.罰金制度(違約金制度)が定められていないケース

一方で、罰金制度を定めていない会社であって、当欠した場合には、損害賠償として1万円を給料から控除すること自体は、直接労働基準法第16条の賠償予定の禁止には違反しないものの、給与から控除すること自体が労働基準法第24条賃金全額払いの原則に反します。

損害賠償として1万円を退職者に請求することは、実際の損害が1万円であれば請求が可能です。

実際に損害が発生した場合に、その損害を退職者に請求こと自体は、労働基準法第16条の賠償予定の禁止に反することはありません。

3.類似の相談について

よくある罰金制度に類似する相談として、一定期間就労しない場合には、退職時に就業支度金や資格取得費用等を返還しないとならないということ自体も労働基準法16条に反し無効になる可能性もあります。

4.まとめ

誓約書で違約金の定めをしている会社も一定数ありますが、今回のコラムを読むとその規定のほとんどは無効になることがわかると思います。その一方で、業務委託契約時に、その不履行について違約金の定めを規定している契約があります。

通常であれば、業務委託契約には、労働基準法第16条は適用されませんが、その業務委託契約が形式的なものであって、実質的に雇用であれば、その業務委託契約の違約金の定めが労働基準法第16条に反し、無効なるケースもあります。

・労基法第16条

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない。

・労基法第24条

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。