弁護士コラム

第226回

『【弁護士の見解】その退職届ちょっと待って!!』について

公開日:2026年2月9日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第226回は『【弁護士の見解】その退職届ちょっと待って!!』について解説します。

目次

1.その退職届ちょっと待ってください

退職代行の相談の一つのうち、退職ができないケースを紹介します。そのケースは、自分自身で退職届を提出してしまうことです。詳しく解説します。今回の解説も弁護士の清水隆久が解説します。

例えば、就業規則上、退職の申し出は2カ月前までに行う必要がある旨が記載されていたとします。その就業規則に従って、自分自身で、4月1日に退職届を提出して、その退職届の内容については、6月15日を退職日にしたとします。退職届を提出することで会社との間に6月15日付けの退職日の合意が成立します。

契約の原則として、その合意が成立した際には、その一方の合意がなければその契約を解除することができなくなります。後日、退職日を早めるような申し出をしたとしても、その申し出をした日で退職することができなくなります。

わかりやすく言えば、6月15日で退職届を提出し、後日、4月30日で退職したいと思った場合でも6月15日の退職日を動かすことができなくなります。仮に、早く退職したいと思っても、6月15日までは退職することができなくなります。

退職代行の相談時に、弁護士であれば6月15日付けの退職届を出した場合でもそれよりも早く退職できると考えて弁護士に相談するケースが多いようです。しかしながら、私の方には、落胆した声を聞きます。6月15日より前に退職することは難しいのは、今回のコラムからわかると思います。

退職代行を依頼する意向がある際には、その退職届の提出は待ってください。

2.損害賠償を受けるケースもあります

次に、6月15日前に出勤しなくなるケースでは、有給があれば有給消化すれば良いと思いますが、その消化ができない場合には、欠勤する場合もあります。

しかしながら、その欠勤自体から損害が発生した場合には債務不履行に基づく損害賠償請求をされるケースがあります(民法415条)。退職届を出すことのデメリットの一つとして、損害賠償を受ける可能性があります。注意が必要です。

3.まとめ

もう少し深い解説をしますと、退職届を提出していない場合でも、口頭で会社と6月15日を退職日にした場合でも今回のコラムの解説があてはまります。口頭でも契約の成立になります。

会社からの求めに応じて退職日の合意を迫られたとしてもちょっと考えた方が良いことがあるのが今回のコラムでわかると思います。注意してください。

会社から退職日の返答を迫られるケースが増えています。その際、弁護士が代理人として退職日の設定をするケースも多くあります。弁護士の退職代行の利用場面は、単に辞めるだけではありません。お困りでしたら私までご相談ください。

・参考コラム

第134回『退職日を決めた後の退職代行の注意点』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。