弁護士コラム

第181回

『退職代行会社のモームリの家宅捜査について法的観点から解説』について

公開日:2025年10月22日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第181回は『退職代行会社のモームリの家宅捜査について法的観点から解説』についてコラムにします。

モームリの家宅捜査がありまして、その家宅捜査のポイントや何が法律的に問題であったのか弁護士の清水隆久が解説します。

モームリの家宅捜査について弁護士が法的観点から取材を受けます。遠慮なく弊所ホームページまたはLINEからお問い合わせください。

目次

1.退職代行会社モームリの家宅捜査を受けたポイントについて

①弁護士法第72条の非弁提携の禁止があげられます。非弁提携とは、退職代行のあっせんを弁護士が退職代行会社から受けてその弁護士が「退職代行サービス」を行います。その際、弁護士がその退職代行会社に対して「紹介料」の名目でキックバックを行う形式を取ります。

モームリさんがこのような「紹介料」をとっているということを言っているのではなく、私の方には、退職代行会社から退職代行サービスのあっせん(紹介)を行う際に、紹介料のキックバックをしてほしいという相談をたくさん受けます。

過去のコラムでも書いていますが、紹介料は15,000円を提示されるケースが多いです。私の方は、非弁提携については丁重に一切お断りをしています。

話を戻しまして、本日午前中から数社からモームリの家宅捜査のポイントについて取材を受けています。

取材先はそれぞれ退職代行会社の行う退職代行サービスの限界説を唱えていました。仮に、家宅捜査は弁護士事務所も対象となっている点で、今後の捜査の進捗が気になるところです。

② 報道記事によれば「残業代」の請求をしている点も捜査対象としていると記載されていましたが、さすがに未払い残業代を退職代行会社が請求することは現実的に有り得ません。

しかしながら、私が退職代行会社に依頼をして退職できなかったケース(退職失敗)したケースでのLINEのやりとりをチェックすると、例えば「退去時の社宅の費用を退職した会社から退職者に請求をした場合で、退職代行会社が未払い残業代で相殺をしているケースや、半年分の定期代を返金請求を受けている事案で、退職代行代行会社が過去の有給未消化分を相殺を主張するケース」を数件程度把握しています。

私はモームリさんが非弁行為をしていると言っている訳ではなく、他の退職代行会社が行っているケースを目にします。

2.令和7年6月東京弁護士会の「退職代行」についての見解と
モームリの退職代行サービスの問題点(労働組合へのあっせん)について

③ その他、令和7年6月の東京弁護士会が退職代行の非弁性について一定の見解を出していました。その中で、弁護士法第72条の非弁提携の禁止を強調していました。

具体的に言いますと、「退職代行会社が労働組合を提携して、退職する会社と退職代行会社が紛争の段階になった際に、提携の労働組合に交渉をあっせんする行為」が問題とされていました。

東京弁護士会の見解を受けて「モームリ」のホームページ上から労働組合提携の文言が消えていました。モームリが労働組合との提携をしていたことは公知の事実であるので、その提携について捜査の対象になっていると私は考えています。

3.まとめ

繰り返しますが、退職代行会社の何が法的観点から問題であるかについて取材のご希望がありましたら、私まで遠慮なくご相談ください。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。