弁護士コラム
第201回
『管理監督者ための残業代請求』について
公開日:2026年1月5日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第201回は『管理監督者ための残業代請求』について解説します。
管理監督者の退職代行とセットで未払い残業代請求についてのご相談が多いですが、今回のコラムは未払い残業代請求について重点的に解説します。
目次
1.管理監督者とは
管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいいます。「管理監督者」という名称にとらわれず、実態に即して判断されます。 厚生労働省は、判断基準として4つの項目を挙げています。
①職務内容として経営者と一体的な立場にあること
②労務管理の責任権限があること
③出退勤や勤務時間の厳しい制限を受けないこと
④地位にふさわしい待遇を受けていること
※管理監督者とは、監督または管理の地位にある労働者のことを指します(労基法第41条2号)。
また、管理監督者にあたる場合には、残業代を支払う必要がありません。
但し、有給休暇、深夜時間に対する割増賃金については支払う必要があります。
2.具体的な検討について
まず、管理監督者にあたるか否かについて、先程の4つの基準をより詳しく検討します。
① ②地位・職務内容・責任・権限
肩書だけではなく、職務内容・責任・権限などの観点から、経営者に近い立場にあるかどうかが考慮されます。
→例えば、経営の重要な企画の提案などができるか、部下の最終的な採用権限をもっているかなど
③勤務態様(労働時間など)
定時が設けられていないなど、勤務の実態が経営者に近いものであれば、管理監督者と判断されやすくなります。これに対して、労働時間に関する裁量がなく、出退勤の時刻を会社側に厳密に定められている等、労働時間について厳格な管理をされている場合は、管理監督者ではない通常の労働者であると判断される可能性が高くなります。
→例えば、遅刻、早退をした場合に、遅早控除をする場合には、管理監督者に該当しない可能性が高くなります。
④待遇(賃金)
通常の労働者と比べて、その地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)が与えられているかどうかが考慮されます。
管理監督者にあたらない場合には、残業代請求が可能になります。もっとも、残業代請求が可能な場合であっても、残業代請求をするためには、改めてどのような証拠があるかについても詳しく検討する必要があります。
※その他未払い残業代請求については、コラム第72回をご参照ください。
3.まとめ
今回は、管理監督者の残業代請求のポイントを解説しましたが、管理監督者の退職代行については、第200回「【弁護士が解説】管理職のための退職代行」をご参照ください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。