弁護士コラム
第217回
『退職代行を禁止する会社がある?【弁護士が解説】』について
公開日:2026年1月30日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第217回は『退職代行を禁止する会社がある?【弁護士が解説】』について解説します。
目次
1.退職代行を禁止する会社について
入社時に退職代行を禁止する会社があるのはご存じでしょうか?これだけ世の中に退職代行と言うワードが流行っています。
また、会社としては、どのように退職代行を受けないようにするかということについて日頃から思案していることも多いかと思いますが、退職代行をそもそも禁止する会社があります。
今回は、退職代行を禁止することができるかどうかについて清水弁護士がコンパクトに解説します。
2.その見解について
現在のところ、⑴弁護士が退職代行しているケース、⑵労働組合が退職代行しているケース、⑶退職代行会社が退職代行しているケースがあります。会社が退職代行を禁止している場合には、⑴⑵と⑶で回答が分かれます。
⑴弁護士が退職代行しているケースでは、弁護士と依頼者との間には委任契約があります。委任契約とは、退職の代理手続きを弁護士に依頼することにあります。退職の代理手続きという法律事務について委任契約し、法律事務を弁護士に委任することは民法643条や弁護士法で認められている手続きとなります。
したがって、会社で弁護士に退職代行を依頼することを禁止したとしても、その禁止した規定などは、民法90条の公序良俗に反して無効となります。
同様に、労働組合が行っている退職代行との関係では会社の規定は民法90条の公序良俗に反して無効になります。労働組合に加入して退職代行を行うこと自体も法が予定しています。
もっとも、⑶退職代行会社が行う退職代行との関係ではその規定自体は有効になります。この理論的な根拠としては、退職代行会社は、退職代行にあたり、弁護士法第72条により交渉ができないこととなります。
仮に、交渉した場合には、弁護士法第72条に反し、違法かつ無効になります。したがって、その会社が禁止した規定自体が有効となります。
以上をまとめますと、退職代行を禁止する会社との関係では、弁護士または労働組合の退職代行を利用することを強くおすすめします。お困りでしたら私までご相談ください。
3.まとめ
会社が退職代行を禁止する場合には、就業規則や雇用契約書に定められているケースがあります。
しかしながら、退職代行によって退職する退職者の理由には様々なケースがあり、その根本原因を改善する必要が企業には求められています。
その改善点の洗い出しを行わず単に退職代行の抑制を行うこと自体が自らの企業体質を体現していると私は考えます。
・参考条文
民法643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。