弁護士コラム
第235回
『【退職代行の弁護士が解説】就業規則の予告期間で退職できないことがある??』について
公開日:2026年3月5日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第235回は『【退職代行の弁護士が解説】就業規則の予告期間で退職できないことがある??』について解説します。
目次
1.就業規則の予告期間と民法627条について
就業規則で退職ができないケースがあるのか?その疑問について私が解説します。『就業規則で1ヶ月前に退職の申し出をしないと退職できないと会社に言われました。本当に1ヶ月前に退職の申し出が必要ですか?』という質問を貰います。
結論から言うと、民法627条に反し無効となり、退職は14日経過後になります。この結論で参考になる東京地裁昭51年10月29日高野メリヤス事件を紹介します。
少し古い地裁判断ですが、就業規則の予告期間と退職について有名なリーディングケースになっています。
2.高野メリヤス事件の概要等について
繊維製品製造会社(被告)の係長(原告)が、退職届を提出して約3ヶ月後に退職したところ、会社は「就業規則で役職者は6ヶ月前の退職予告が必要と定めているため、退職は無効であり、その後の欠勤を理由に懲戒解雇する(退職金不支給)」と主張した。係長は、退職金の支払いを求めて提訴した。
裁判所は、係長の請求を一部認め、会社に対し、退職金全額(約32万円)の支払いを命じた。(弁護士費用の請求は棄却)
民法627条は、期間の定めのない雇用契約において、労働者の解約(退職)の自由を保障する趣旨である。労働基準法等は、労働者の自由を不当に拘束することを防ぐために様々な規制を設けており、この観点からすると、就業規則によって民法627条の予告期間(原則2週間、月給制の場合は翌月以降)を使用者のために延長することは許されない(無効)。
したがって、役職者は6ヶ月前に退職願を出す必要があるとする就業規則の規定は、民法627条に反する部分については無効である。
3.まとめ
退職代行をしていると就業規則と民法627条の優劣関係について会社から主張をされることが多くあります。
例えば就業規則によれば退職の申し出は2カ月前に行う必要がり、14日前の退職の申し出で足りるのか、それとも、2ヶ月前なのか・・・・。
しかしながら、退職者の退職する自由を最大限保障すると、民法627条が優先される(高野メリヤス事件の)結論になると考えられます。就業規則の予告期間でお困りでしたら私までご相談ください。
・参考コラム
第36回『30日前、60日前、2ヶ月前、3ヶ月前、6ヶ月前申告と退職代行』について
・参考条文
民法627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。