弁護士コラム
第236回
『【退職代行の弁護士が解説】転職エージェントの紹介手数料を請求された?対応策は?』について
公開日:2026年3月5日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第236回は『【退職代行の弁護士が解説】転職エージェントの紹介手数料を請求された?対応策は?』について解説します。
目次
1.紹介手数料を請求された場合に対応策について
退職代行をしている色々な相談を受けます。その中の一つで転職エージェントの手数料(紹介手数料)を会社から請求されるケースがあります。転職エージェントの手数料(紹介手数料)は高額になるケースがほとんどです。
職種にもよりますが、採用した人材の理論年収の30%から40%程度が業界相場になります。ざっくり転職エージェントの手数料(紹介手数料)が100万円になるケースもあります。
今回は、退職時に会社から転職エージェントの手数料(紹介手数料)を請求された場合に支払うべきか解説します。
結論としては、支払う必要はありません。その理由について私が解説します。
転職エージェントへの手数料(紹介手数料)は、原則として人材を採用する会社が負担します。その理由としては、職業安定法第32条の3により、求職者から手数料を取ることが禁止されています。
(手数料)
職業安定法第32条の3
第32条の3 第30条第1項の許可を受けた者(以下「有料職業紹介事業者」という。)は、次に掲げる場合を除き、職業紹介に関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。
2.拒否できる理由について
職業安定法第32条の3は、あくまでも有料職業紹介事業者が求職者から手数料という名目をとってはいけないと規定されているものの、その趣旨は、職を見つけるために多額の費用を支払うことは、雇用機会の平等を損なう恐れがあります。
すなわち、求職者が有料職業紹介事業者を利用する際に、過大な費用負担を求められることを防ぎ、安心して求職活動ができる環境を整えることができます。
かかる趣旨からすれば、退職時にあたり、会社(企業側)が退職者について、転職エージェントへの手数料を請求し、退職者に支払いさせることは、職業安定法第32条の3の趣旨に反し、無効となる可能性が高いと私は考えます(民法90条違反)。
3.損害賠償請求について
次に、手数料の請求ではなく、早期退職による損害賠償請求として手数料相当額を請求してきた場合でも拒否して構いません。
このケースでも、職業安定法第32条の3の趣旨に反し、損害自体が成り立たないと考えます。
4.まとめ
退職時に転職エージェント手数料を請求してくる会社があることはよく聞きますが、法律上のアドバイスをした情報が少ないので今回のコラムで解説しました。お困りでしたら私までご相談ください。
・参考条文
(公序良俗)
民法90条
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
・参考コラム
第217回『退職代行を禁止する会社がある?【弁護士が解説】』について
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。