弁護士コラム

第234回

『【弁護士が解説】退職代行時の最終給与が支払いされない??』について

公開日:2026年3月5日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第234回は『【弁護士が解説】退職代行時の最終給与が支払いされない??』について解説します。

目次

1.最終給与が支給されないケースについて

退職代行時の最終給与が支給されないため相談が増えています。最終給与を支給しないこと自体が法的に許されるケースがあります。その法的に許されるケースについて私が解説します。

最終給与が控除金額より少ないために支給自体がマイナスになるケースがあります。例えば、退職日が3月31日であった場合には、3月分の社会保険料がかかります。その3月分の社会保険料は4月支給の給与から控除されます。

しかしながら、3月分の出勤日数が少ないために欠勤日数が増えた場合には、支給自体ほとんどされません。その一方で、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の保険料については、出勤日数に関わらず、一律の控除額になります。

繰り返しますが、控除額が支給額を上回った場合には、支給自体がされなくなります。それどころか、後日、退職した会社に対して、退職者が社会保険料のマイナス分を振込するケースがあります。

2.末締め先払いの会社について

次に、大手の会社に見られる支給方法として、基本給やその他月例固定給与の固定項目については、毎月末日締め、先払い20日支給の給与支給方法があります。

その上で、残業代や交通費などの変動項目については、毎月末締め、翌月20日払いの給与支給方法があります。

先程と同様に、3月31日退職の場合には、基本給やその他月例固定給与の固定項目については、3月31日締め、3月20日支給、3月1日から3月末日までの残業代を4月20日に支給することを想定します。

そうすると、4月20日支給の給与が極端に低くなり4月20日支給給与よりも社会保険料の控除額が大きくなり、給与支給がマイナスになります。

このようなケースでも最終給与が支給されなくなります。繰り返しますが、支給されないどころか、後日、退職した会社に対して、退職者が社会保険料のマイナス分を振込するケースがあります。

「2」のケースの末締め先払い20日の給与がイメージできないというご質問を貰うことが多くありますが、例えば、7月1日に入社した場合に、7月20日に基本給等の固定項目の支給を受けたかどうかでチェックできます。入社月に給与支給を受けているかどうか一度チェックしてください。

3.まとめ

今回の第234回のコラムで書いた内容でなく、単純に退職代行自体が気に入らないので、最終給与を支給しない会社が稀にありますが、その支給しないこと自体は、労基法24条の賃金全額払いに反する可能性があります。

・参考コラム

第15回『退職代行と給与未払い』について

第143回『現金支給と退職代行【相談窓口】』について

・参考条文

労基法第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。