弁護士コラム

第138回

『誓約書の作成拒否と退職代行時の注意点』について

公開日:2025年7月11日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第138回は『誓約書の作成拒否と退職代行時の注意点』についてコラムにします。

目次

1.約書作成の注意点

退職代行した後、会社から誓約書の作成を求められることがあります。

退職時に誓約書の作成を会社が求める理由としては、例えば、個人情報を漏洩しない、競業する同業他社に就職しない、退職した会社の誹謗中傷をしない、賃金等の未払いがない、退職者と会社間に債権債務関係がないetcが考えられます。

退職者の方から頂くご質問の中で、『誓約書の内容に対して疑義があるためどうしたら良いでしょうか?』というものがあります。

結論として、誓約書を書くかどうかは、強制ではなく、退職者の意思(任意)によるので、拒否しても法律的には問題ありません。

仮に、気に入らない部分があれば、その文言の部分を削除して、誓約書に署名押印することも出来ます。

私が退職代行を行った場合には、誓約書については、良く文言をチェックするようにお願いしています。

よくわからないということであれば、一言声をかけて頂きましたら、誓約書の内容チェックを私の方で行います。

退職した場合に誓約書を書くか書かないかの上で、同業他社に就職する場合や、今後未払い賃金の請求をする場合には、特に誓約書に署名押印するかしないは十分に気をつけて行う必要があります。

競業避止義務違反について退職後、辞めた会社から請求されたり、給料未払いについて異議を述べないなどを記載しているケースが多々あるのです。

誓約書の作成をするかどうかに迷われましたら、誓約書の作成を拒否するいう手段が1番だと私は考えますが、誓約書を出さない場合に、退職関係書類をなかなか作成、送付してこない場合がありますので、退職関係書類をスムーズに出して欲しい場合には、最低限、退職者が納得できない部分を削除した上で、提出する方法を取るべきだと考えます。

削除する際には、その文言自体を二重線で消す方法があります。

退職代行時に、誓約書に署名押印するかどうかに迷われましたら、遠慮なく私までご相談ください。力になります。

2.まとめ

会社が要求する誓約書だから会社に協力したくないので、一切拒否するという考えではなく、例えば、個人情報を漏洩を誓約するだけを記載した誓約書であれば、個人情報漏洩をしない誓約というのは通常の誓約と考えますので、そのような誓約であれば、署名押印(サイン)をすることは問題ないと言えますので、無用な争いを退職した会社としないためにも、誓約書にサインすることも必要なケースもあります。

理由としては、繰り返しになりますが、退職関係書類を退職した会社からスムーズに出して貰うためです。

退職代行を依頼するケースは弁護士に依頼した場合には、疑問に思ったことは誓約書に限らず、担当弁護士に相談することをおすすめします。

お困りでしたら、私までご相談ください。

・参考コラム

第56回『競業避止義務と弁護士による退職代行』について

第117回『川越みずほ法律会計の退職代行の流れ、ご依頼』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。