
弁護士コラム
第157回
『医師(の先生)のための退職代行サービスがおすすめな理由』について
公開日:2025年9月5日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第157回は『医師(の先生)のための退職代行サービスがおすすめな理由』についてコラムにします。

目次
1.医師のための退職代行サービスのメリットについて
最近では、退職代行サービスのメリットなどを考えることが多くなりました。
その際、退職理由をあれこれと詮索されないことが一つのメリットではないかと思っています。
例えば、医師の先生の場合には、退職後、他のクリニックや病院に転職される場合や、独立される場合に、その詳しい理由を職場に伝えたくないために、退職代行サービスを利用したいという要望をお聞きします。
自分自身で退職の手続きをした場合には、退職理由を詳しく根掘り葉掘り聞かれることでしょう。
また、医師はそもそも絶対的な人員不足のためにあれやこれやと引き止めをされることもあります。
その際、弁護士の退職代行サービスを利用すれば、民法627条を守るような退職手続きを踏めば、退職自体はスムーズにできます。
また、有給休暇が残っていれば、有給休暇を取得しつつ、退職にもっていくこともできます。私の方の退職代行サービスにご依頼される場合には、医師の先生の場合には、必ず『内容証明郵便』を使って退職代行サービスを行います。内容証明郵便を使った退職代行サービスで、退職日の指定を行います。
また、弁護士が代理人となることで、『職場とのやりとりは不要』になりますので、さらなるメリットが弁護士による退職代行サービスにはあります。
内容証明郵便の有用性については、コラム第64回『弁護士による退職代行と内容証明郵便』について、をご参照ください。
また、後半での損害賠償請求との論点では、有給取得が重要な対応になりますので、有給取得を効率的に行うためのコラム第150回『退職代行時に効率的に有給消化や有給取得する方法』について、をご参照ください。
2.損害賠償請求の検討
次の検討する論点としては、医師の先生が退職代行サービスを利用した場合に、職場の病院から損害賠償請求をされる可能性があるか否かについて解説します。
まず、退職代行サービス時に、損害賠償が発生するケースは主に2つあります。
❶引き継ぎ不足の場合
❷人員不足の場合
❶引き継ぎ不足の場合については、今行っている医師としての業務について自分自身しか知り得ない情報をもっているか否かによります。医師の先生の場合には、カルテ等に、その患者の情報が記載されているはずですので、引き継ぎ不足というのはあまり発生しないのではないかと考えています。
❷人員不足の場合による売り上げ減少について
まず損害賠償請求については民法415条が根拠となります。415条の要件として、債務不履行の事実が必要となります。債務不履行とは、雇用契約上の義務違反行為、例えば、欠勤などが発生することで、就業規則違反行為が発生することを指します。
端的に言うと、この就業規則違反行為が債務不履行事実になります。債務不履行事実から生じた『損害』が発生した場合には、職場の病院から損害賠償請求される可能性があります。その際、『損害』については、具体的なものである必要があり、抽象的なものでは足りません。
仮の事案になりますが、退職代行サービスを行うことで、過去の平均売り上げから算出して売り上げが下がったとして、その売り上げ=損害として病院が請求しようとしても、そのような算出では、損害としては抽象的なものになります。
そのような抽象的な損害ではなく、より綿密的な損害の立証が職場の病院には必要になります。
もっとも、『損害論』での争いではなく、❷人員不足の損害の前提としての『欠勤』を生じさせないというのが大事な対策の一つになります。そこで、医師の先生の退職代行サービスについては、『有給取得』をすることで、欠勤をなくすことが必要です。
しかしながら、医師の先生の退職代行にあたっては、損害賠償される可能性は他の職種の方と比べて高いものと言えます。
そこで、最近では、弁護士法人川越みずほ法律会計の行う退職代行サービスの損害賠償対応プランにお申し込みを頂くケースが増えています。
仮に、訴訟をされた場合でも定額で対応しますのて、万一の場合に備えてお申し込みください。詳しくは、コラム第115回『損害賠償対応プランと退職代行がおすすめな理由【人員要件】』について、をご参照ください。
3.まとめ
最近では医局の退局代行の依頼を受けるケースも増えていますので、退職と一緒に合わせてご検討ください。
今回は、正規職員としての医師の先生を対象としたコラムを書きましたが、公立病院、市立病院、自衛隊病院にお勤めの公務員の方からの退職代行サービスを受けることもあります。
さらに、医師の立場で理事になっている場合に、退職代行サービスと合わせ退任代行サービスを私の方で行うケースも増えています。お困りでしたら、遠慮なく私までご相談ください。力になります。
・参考コラム
第68回『医療法人社団理事(役員)の退職代行』について
・民法
第415条
1 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
第627条
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。