弁護士コラム
第205回
『【弁護士が解説】保育士の退職代行』について
公開日:2026年1月6日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第205回は『【弁護士が解説】保育士の退職代行』について解説します。
目次
1.私物の返却で揉めるケースがあります
保育士の方が退職代行を依頼されるケースが増えています。保育士の方が退職するにあたっては、1年度の途中で退職する場合には、園の方から引き止めされることが多くあります。クラスの担任をもっているケースでは、さらに引き止めされる傾向が強くなります。
では、保育士の方が退職代行を依頼するにあたっては、何に注意すべきでしょうか?
実は、私物などで揉めるケースが増えています。退職代行時には、職場には出勤することはほとんどありません。また、職場との電話でのやりとりもなくなります。しかしながら、退職代行にあたっては、私物を自宅まで送ってもらうための法律上の根拠はありません。
あくまでも私物の郵送については、職場に温情によって成り立つものと言えます。したがって、職場の方が、私物を送ることを拒否した場合には、その私物が返ってこない可能性も十分あります。
結論としては、退職代行時の私物については、事前に回収することを強くおすすめしています。私物を送ってもらうことや、私物の紛失などを防止する必要があります。大切にしている私物があれば、事前に回収するようにしてください。
2.入職祝い金の返還について
保育士の退職にあたっては、入職祝い金の支給を受けているケースがあります。最近の人手を確保するための有効な方法として、入職祝い金を導入している保育園も多くあります。
しかしながら、例えば、3年以内に退職する方については、退職時に一括の返金を要求する園もあります。入職祝い金を一括で返済させる誓約書の有効性については近年問題となるケースが多くあります。
では、どのようなケースで無効になるか基準を解説します。
支給後、誓約書の形で、退職時に一括返済させるのは、労基法第16条の賠償予定の禁止の趣旨に反し、無効なるケースが多い傾向があります。したがって、そのようなケースでは、一括返金をする必要はなくなることが多いです。
その一方で、仮払いで支払う旨の文言があるケースや、貸付するなどの文言があり、一定期間勤務したことを条件に、その返済を免除するなどの規定については、有効なるケースが多いです。※償還期間と言うケースもあります。
入職祝い金の返金については、コラム第80回、コラム第187回で詳しく解説しています。ご参照ください。
3.資格取得費用について
資格取得費用の返還についても問題となるケースも多くあります。退職にあたって、資格取得費用の返還を園が要求するケースも増えています。
「2」の入職祝い金の支給についての解説と重複するため、詳しい解説については、コラム第28回をご参照ください。
4.まとめ
保育士の方が退職にあたっては、正職員の形で入職されている方が多いように見受けられます。正職員であれば、民法627条1項が適用されるので、退職代行した日から14日経過後であれば退職できます。
弁護士が退職代行をすればスムーズに退職できるケースが多いと思います。しかしながら、今回のコラムのように諸論点で揉めるケースも多くあります。お悩みでしたら遠慮なく私までご相談ください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。