弁護士コラム

第232回

『【弁護士が解説】タクシードライバーの退職代行』について

公開日:2026年2月20日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第232回は『【弁護士が解説】タクシードライバーの退職代行』について解説します。

目次

1.タクシー会社への退職代行について

タクシードライバーの方からの退職代行の依頼はとても多いです。タクシー会社への退職代行という観点からすれば、他の正社員の職種への退職代行とそれほど遜色はありません。

民法627条によれば、退職代行したタイミングから14日経過後が退職になることが一般的です。有給残日数があればその有給を消化しつつ退職になることが一般的です。出勤しないでそのまま退職になることがほとんどです。退職についてはあまり争いになることはありません。

もっとも転職先がタクシー会社である場合には、登録制度との関係で気を付ける必要があります。

過去には、貸与品の返却をスムーズに行わなかったために、退職時のタクシー会社での運転者登録を解除しないことで転職先のタクシー会社で運転者登録がスムーズにできなかったケースもあり、注意が必要です。

2.資格取得費用について

次に、タクシーの2種免許の取得費用を会社から出してもらった際には、退職時に一括返還する必要があるかどうかについて揉めるケースがあります。まず、前提として、2種免許の資格取得費用の返還が必要かどうかについては、裁判例を参考にすれば一定程度の解決がされたと考えています。

具体的には、
・資格取得費用が高額でないか
・資格取得費用については借入れた(貸付けた)契約(金銭消費貸借契約)になっているか
・本人にとって有益であるか
・資格取得から概ね2年間勤務した場合には免除されているか
・その他として、毎月勤務する毎にその月数に応じて返還を不要とされているか(償還期間があるか)
などが要件としてあります。

その要件を満たせていれば、退職時に資格取得費用の返還請求をされても、労基法16条の趣旨に反せず有効となっています。
有効であれば、退職者としては資格取得費用を返還する必要があります。

3.分割交渉について

では、資格取得費用が返還する必要があるとしても、一括での返還(返済)ができない場合には、私の方が退職代行と合わせて分割での交渉をすることもあります。

分割の交渉をすることもありますが、必ずしも交渉が成立するとは限りません。毎月の支払金額、支払い期間、退職後の返済可能性があるかなどが考慮されます。

4.まとめ

資格取得費用についてはタクシー会社への退職代行については、揉めるケースもあります。その他、入社支度金の返還についても合わせて問題となるケースもあります。

入社支度金の返還については、コラム第187回をご参照ください。
お困りでしたら私までご相談ください。

・参考条文

(賠償予定の禁止)

労基法第16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

・参考コラム

第187回『【退職代行 弁護士が解説】退職時に入社祝金は返す必要があるの??』について

弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介

いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。

この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。