弁護士コラム
第233回
『【弁護士が解説】長期欠勤中の退職代行の注意点』について
公開日:2026年2月20日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第233回は『【弁護士が解説】長期欠勤中の退職代行の注意点』について解説します。
目次
1.長期欠勤による社会保険料について
長期欠勤中の退職代行についてご相談が増えています。長期欠勤とは、コラム第233回では、1か月以上の欠勤と定義します。
1ヶ月以上の欠勤が発生した場合には、社会保険の未払いが発生している可能性が高いです。普段の給与支給を受けるにあたっては、給与総支給額から社会保険料が一定程度控除されています。
社会保険料については、入社時に等級決定がなされ、一定期間、同額の社会保険料が控除されます。
社会保険料ついては、通常であれば、入社時を除いて、4月、5月、6月の総支給額の平均額からその後の1年間の控除額を割り出します。少なくとも、1年程度は同額の控除額になります。
したがって、給与明細をチェックしてもらえればわかると思いますが、長期欠勤の際には、総支給がない場合でも、会社が一旦立て替えた上で、国に支払っています。したがって、後日、長期欠勤者に対して、社会保険料の立替金請求をしてくることが一般的です。
したがって、長期欠勤した場合には、後日、会社から社会保険料の支払いが来ることを念頭に置く必要があります。
2.長期欠勤による給与返還について
次に、長期欠勤によって、過払いになっている給与がある場合には、返金する必要があります。長期欠勤していたにも関わらず、その期間に対して給与が支給されていた場合には、注意が必要です。
何となく会社の給与を支給されている場合には、退職時に、一括で給与返還請求をしてくるケースがあります。過去の退職代行にあたっては、給与返還交渉と同時に行うケースもあります。
長期欠勤中には、ノーワークノーペイの原則があることから、勤務していない日数について、民法703条の不当利息返還義務が発生します。
3.傷病手当金申請について
長期欠勤の原因が体調不良の際には、勤務ができないことを伝えるとともに、健康保険上の傷病手当金申請をすることをおすすめしています。
傷病手当金については、請求前の1年間の給与を平均して、その平均額の67%程度が基準となります。退職代行とセットで傷病手当金申請を代理で申請するケースもとても多いです。
4.まとめ
社宅の入居していた場合にも社宅費用の立替を会社が行っていることもあります。その際にも、後日支払う必要もあります。
長期欠勤することで後日支払う必要のある金額が出てくることも多くあります。
したがって、通院は必要になりますが、「3」の傷病手当金申請を私はおすすめしています。
・参考コラム
第84回『傷病手当金申請と退職代行』について
第140回『退職代行時に懲戒解雇を防ぐ方法』について
第215回『【弁護士が解説】無断欠勤中の退職代行』について
・参考条文
(不当利得の返還義務)
第703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。