
弁護士コラム
第119回
『川越みずほ法律会計の退職代行実行後の流れ』について
公開日:2025年5月16日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第119回は『川越みずほ法律会計の退職代行実行後の流れ』についてコラムにします。
ご質問が多いので、退職代行実行後の対応についてコラムにまとめました。
退職代行実行後で疑問点がありましたら、今回のコラム第119回を積極的に活用してください。
今回のコラムは、公務員、業務委託、取締役以外の正社員、パートアルバイト、契約社員、派遣スタッフについての退職代行後の流れについてご説明します。
※退職代行のご依頼時の流れについて、コラム第117回をご参照ください。

目次
1.退職代行実行後のご質問事項をまとめました
❶『退職日はいつになりますか?』というご質問が1番多いことから、退職日についてご回答していきます。まず、退職日については、今一度、私の方で作成した『受任通知書』のご確認をお願い致します。退職日を記載するように私が受任通知書を作成しています。
❷次に、2番目に多いご質問として、『退職関係書類がいつ届くか』については、法律上、以下の通り、期日を基準として、請求及び催促を行います。
⑴雇用保険被保険者証
⑵離職票
⑶社会保険喪失証明書
⑷源泉徴収票
⑸退職証明書
※給与明細書については応相談になります。
⑴雇用保険被保険者証については、入社時に受け取ったいる場合もありますので、再発行手続きになる場合もあります。転職先で急ぐ場合には、お近くのハローワークで再発行の手続きがとれますので、お急ぎの方は、ご自身での取得についてもご検討ください。
⑵離職票については、退職日から10日以内に手続きすることが雇用保険法で定められていますので、退職日から10日以内に離職票の発行手続きをするように会社に請求します。
なお、離職証明書の請求を受任通知書でお願いしたいとご相談を受けるケースはありますが、離職証明書は、会社がハローワークに提出する書類になりますのなりますので、離職証明書を提出後、離職票が発行されます。
⑶社会保険喪失証明書とは、健康保険に加入されていた方が国民健康保険に加入するために必要な手続き書類です。しかしながら、社会保険喪失証明書については、法律上発行することが義務付けられていませんので、法的に強制することができない書類ですが、退職代行時には、受任通知書で請求します。
ちなみに、社会保険喪失証明書が会社から発行されない場合には、退職日以降、お近くの年金事務所で社会保険喪失証明書をご自身で発行してもらうケースもありますので、注意が必要です。
⑷源泉徴収票については、所得税法により退職日から1ヶ月以内に発行することが法律上義務付けられていますので、受任通知書で請求します。
⑸退職証明書とは、労働基準法第22条で定められている書類となります。会社には発行義務が労基法上、定められていますので、受任通知書によって、請求します。仮に、⑴から⑸の書類が退職日から所定の期日までに届かない場合には、催促をしますので、弊所までその都度、ご連絡をください。
※給与明細書は、所得税法で発行義務が定められています。しかしながら、発行していない会社はあるため、事前に応相談となります。私の方から会社に対して請求することもできます。
※離職票の退職区分については、自己都合退職になります。詳しくは、コラム第76回、第82回をご参照ください。
その他ご要望があれば、担当までお声かけください。お問い合わせにつきましては、弁護士の退職代行の1番下のお問い合わせフォームから遠慮なく頂けると幸いでございます。
❸給与が未払いのケースは、弊所の未払い給料対応プランにお申し込みください。もっとも、未払い後、所轄の労働基準監督署に未払いの申告をすることをおすすめします。所轄の労働基準監督署に申告しても、監督署が対応してくれない場合には、ヒアリングの上、訴訟提起をすることも可能ですので、ご希望がございましたら、お声がけください。詳しくは、コラム第15回をご参照ください。なお、労働基準監督署への未払い給与についての申告方法については、コラム第71回をご参照ください。
❹貸与品の返却について
保険証は、退職日まで使用できますので、保険証は、退職日に合わせて、退職日の前後にレターパックを使い送付してください。入館証、鍵類は、揉める原因となりますので、退職代行実行した段階ではすぐに、元の職場までレターパックにて、送付するようにしてください。さらに、貸与品のPC、スマホ、iPadなどは、初期化せずに、パスワードのメモを同封してヤマト運輸等の精密機器便で送るようにしてください。
❺私物については、着払いにて送るように職場と交渉しますが、法的な根拠が弱いので、私物は、所有権放棄の上、廃棄処分になることもありますので、事前にご理解のほど、よろしくお願いいたします。
❻引き継ぎについて
引き継ぎについては、会社が把握していない最低限の部分について書面化して、弊所にお知らせください。引き継ぎ書面については、ワードファイルでまとめていただいても構いませんし、メールまたはLINEで頂いても構いません。弊所から職場に、引き継ぎいたします。どの部分まで書面化する必要があるかについて迷う場合には、担当までご相談ください。
退職時にあたって引継ぎなどについては、会社からの損害賠償請求が不安な場合には、『損害賠償対応プラン』の申し込みをご検討ください。退職代行実行後、会社から初回の連絡が来るまでの間であれば追加で申し込みすることができます。損害賠償対応プランについては、コラム第115回をご参照ください。
❼社宅の退去が必要となる場合には、弊所担当まで、退去日の連絡をするようにお願いします。社宅退去日は、退職日までに行うことが原則ですが、詳しくは、コラム第58回をご参照ください。
2.その他ご質問事項について
3.退職時の給付金サポートコンサルティングについて
最近では、退職時の給付金サポートコンサルティングについてのご質問やお問い合わせが増えています。
興味のある方は、遠慮なくご相談ください。
なお、3つのコラムを読んで頂きましたら、ある程度はわかるように解説しています。
・傷病手当金と失業保険を給付コンサルティングは、第60回をご参照ください。
・傷病手当金コンサルティングは、コラム第62回をご参照ください。
・特定理由離職者の失業保険給付コンサルティングは、第63回をご参照ください。
・参考コラム
・社宅の退去については、第58回のコラム
・即日退職、実質的即日退職については、第35回のコラム
・30日前、60日前、2ヶ月前、3ヶ月前、6ヶ月前申告については、第36回のコラム
・前借りについては、第34回のコラム
・借入金については、第32回のコラム
・車両事故については、第25回のコラム
・退職証明書を会社が発行しないケースでは、第102回のコラム
・『未払い残業代請求と退職代行のすすめ(1)』については、第72回のコラム
をご参照ください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。